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例のイケメンは凶暴な男。【ONE PIECE 】

第30章 嫌われる事。


だが視界は、真っ白な粒がチカチカ光っている様に見えて何も見えない。
体は何だかフワフワして、暑いのか寒いのか分からない感覚に、おかしな汗が出てくる。

「スズキ!」

「カナエ!大丈夫!?」

皆の声が何だか遠い。

『私……死ぬの……?』

「何言ってやがる!」

『なん……て……月並みな台詞……言って
……みたり……して……へへ』

「黙ってろ。すぐに医療室に行くぞ。」

『ロー……助けて下さいって……言ってみて……
ここが……空港になる……かも……』

「ベラベラ喋ってんじゃねェ!!」

死にそうだと言うのにカナエが良く分からない事を言っていると、甲板が大きく傾いてきた。
船はもう、波に乗り始めている。
目前にそびえ立つ水の壁。
振り落とされない様に全員が柵にしがみついた。ローもカナエを抱き寄せたまま、何とか片手で掴んでいる。

船首が徐々に上がって行く。
皆の視界が一瞬空を仰いだ。

波頭を越えた時、船のスピードが落としきれていなかった。それが原因で、船体が少し浮いてしまった。

勢い良く着水したポーラータング号。
水飛沫が上がり、船が大きく揺れている。

「みんなー!大丈夫ー!?」

ベポが辺りを見渡すと、ペンギンとその他大勢の船員、トミダも無事なのが確認できた。
しかし、あと二人がいない。

「あれ!?キャプテンとカナエは!?」

言い終わったのと同時に、海に何がが落ちる音がした。

まさか。船長に限ってそんな事は。

皆が音のした方へ駆け寄り海を見下ろすと、
白と黒の帽子が2つ、海に静かに浮いていた。

そのまさかだった。
先程の衝撃で振り落とされたのだろうか。

「全員、海へ飛び込めーー!!!」

悪魔の実の能力者が海へ落ちたら一貫の終わり。カナエもあの様子じゃ、泳げる筈がない。
ペンギンの叫びと同時に、皆が柵を蹴って海へ飛んだ。




「駄目だ……スズキはもう……」

一人残ったトミダは、歯を食いしばりながら
海に漂う帽子を見つめていた。


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