第7章 しっかり働け。
カナエはペンギンに巨大な洗濯機の使い方を習い、船内を案内して貰った。
「これが一番小さいサイズだな。」
パジャマを来ていたカナエに船員達とお揃いのつなぎが渡された。
(自分がこれを着る日が来るとは…)
(皆とお揃い…何か嬉しい…)
『…ありがとうございます。』
「カナエ、俺達には敬語じゃなくていいよ。」
『でも…ペンギンさん、乗せてもらってる身なので…』
「さんってのも無し!呼び捨てでいいから。おなじ船員だろ?年上だしなっ。」
(同じ船員……)
カナエは何だか心が暖かくなった。
こんな気持ちは初めてだ。
『じゃあ、ペンギンくん。』
「だから…」
『ペンギンくんは私より絶対ちゃんとしてるからお兄ちゃんみたい。年下だけど呼び捨てになんて出来ない。だからペンギンくん。』
カナエは職業柄、人間観察をよくしていた。仕事の教え方や、少しの会話で、ペンギンが頼りになる男だということはすぐに分かった。
「それ、老けてるって事か?」
『褒めてるの!』
「そうか。ならいいか。じゃあカナエは俺の妹だな!ハハハ!」
『エヘヘ』
カナエは楽しくやっていけそうな気がした。