第27章 忘れてました。
『トミダさん、その風貌はアレですね。』
「何だ?」
『水滸伝の……幻想的な……組合の人みたいですね。』
「お前……!それ、このサイトではかなりレアな感じだぞ……」
『勇気を出して言ってみました。』
「俺はクロウマンだから、そうじゃないの!!」
『ダイスケさんの方が鴉っぽかったな……』
「だから、レアな会話をさせるな!!」
カナエの暴走を止めたトミダは、自分がここに来た本来の目的を思い出した。
こんな話をしに来たんじゃない。
「いらない会話に1ページ以上使ってる場合じゃ無いんだよ。スズキ、ここに来てからおかしいと思う事なかったか?」
『あ………』
そういえば。
ローとキッドだ。オークション会場が初対面の筈が、その前に一悶着あった。
それにパシフィスタと戦った後に黄猿まで現れ、ローは重症を負った。
「やっぱりな……」
『でも、ローの怪我は治ったし……話の流れに支障は無いかと……』
「でも、おかしな事が起こったのは全部スズキがきっかけだろ?」
『そうですね。』
「俺の方もそうなんだよな………」
最初はカナエの様に些細な事で、あまり気に留めていなかった。
しかしルフィ達は、知っている話とは違う行動をする事が少しずつ多くなった。トミダは毎回、その後の展開が変わらないように上手く言いくるめて軌道修正している。
「俺達がこっちの世界に来た事で、何か変な事になってるんだよ。うん。」
『適当だな、おい。』
「こっちの世界の歴史が変わるのも嫌だし。」
『ルフィ達は、トミダさんがこの先の事知ってるのは分かってるんですか?』
「知ってるよ。でも、聞きたくねェってさ。」
『それでこそルフィ。』
「だよな。………ローは知ってるのか?」
『いえ……混乱させたくなくて。』
教えようにも、シャボンディ諸島の辺りからそんなに読み返せていない。記憶が曖昧だ。適当な事は言えない。
『それに、私が何も言わなくてもローは自分で決断していくと思う。生半可な覚悟でここまで来た人じゃないですよね。』
「そうだな。………よし!お前はそのままで良いぞ!」
『え?』