第6章 お世話になります。
「お前の血の力が分かるまでは船にいてもらうぞ。」
『え?』
血の力と言っても、カナエには力がみなぎる様な感覚は無いし、空が飛べそうなわけでも無い。
『……でも、私の血が役に立てる力があるとは思えないし、足手まといになるだけなので……次の島で降ろしてください。』
「当てはあるのか?」
『う……何も無いです』
「だったら、黙って船に乗ってりゃ良い。
お前の血もどんな力か結果が出ねェ限り、役に立つか立たないかも分かんねェだろ」
確かにその通りだが、足手まといには変わり無い。
『さっきの、直接舐めるってのは。』
「あァ……命を奪う様な力もあるみてェだからな。俺はまだ死ぬわけにはいかねェ。」
そんな力があるのかとカナエは怖くなったが、さっきは本当にからかってたんだなとも思った。
「さっき採血した量だけじゃ足り無ェ。また血が必要になる。
調べるなら最後までやりてェからな。結果が出るまで時間が掛かるだろうからここに居ろ。」
(研究材料かよ……でも)
当てがあるのか、そう聞いたと言うことは、別の世界から来て、何も頼るものが無い自分への、ローなりの優しさかもしれない。
(分かんないけど……素直に甘えよう。)
『じゃあ……お世話になります!』
カナエは深々と頭を下げた。
「あァ。」
ローが少し微笑んでいるように見えた。
(あ……可愛い……)