第24章 忘れてねェか。
「今回くらいの深い傷だと、手術したって
ここまで傷跡が無くなるまで1、2年はかかる。それをお前は短時間で治させた。細胞を支配したんだ。………分かるか?」
カナエは口を開けて聞いている。
『何となく………でも、随分ざっくりとした説明だね。』
「お前でも分かるように簡単に説明してやったんだよ。間抜け面してんじゃねェ。」
『あと、医者っぽい事言わせたかったけど、考えてる人に学が無いから貴方のセリフはこれが限界ですね、ロー先生。』
「そうだな。」
『………おにぎり食べる?』
「何だその大きさは………まだ食欲は無ェ。」
『そっか。じゃあ、ここ置いとくね。』
テーブルの上におにぎりを置いて部屋を出ようとしたが、ローに引き止められた。
まだ聞きたい事があるという。
『何?』
「お前、どうやって力を使った?いつ目覚めたんだ。」
ナーニ・カール島のおじいさんは、力を使うには強く念じると言っていた。
キッドが、血の力は精神的に追い込まれると目覚めると言っていた。
(死なない筈のローがあんなに血だらけになって………)
『何かしたとかじゃ無いんだけど………
ローが死んじゃったらどうしようって……
思ってただけ。』
「それで追い込まれて力が目覚めた訳だな。
…………………カナエ」
不意に名前を呼ばれローに視線をやると、カナエは腕を掴まれ引き寄せられた。
「随分と俺に惚れてるみてェじゃねェか」
『!』
ヤバい。
ローが口元をニヤつかせて、ベッドに座ったままじっと見つめてくる。
これは悪い事を考えている顔だ。
『そのようで………じゃ!私は夕食の準備がありますので、これで!』
「待て」
ローはカナエを軽々と持ち上げ、自分の上に跨がって座らせた。
「お前、ひとつ忘れてねェか?」
『………何を?』
「魚人を助けた時に言ったじゃねェか。」
忘れていた。
助けるかわりに、俺を満足させろみたいな事を言っていた。
気が付けば、カナエの下でローのものが大きくなっていて、足の間にちょうど当たっている。
ローが腰を動かして服の上から刺激してきた。
『あっ……ちょっ………と!』
「何をしてくれるんだ?」