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例のイケメンは凶暴な男。【ONE PIECE 】

第23章 知らない。


無い。無くなった。

さっきまで開いていた傷口は
うっすらと跡だけを残して、元通りになっている。
青褪めていたローの顔も、どんどん血色が良くなっていった。

『え……何?どういう事?』

「治ってる………」

「もしかして、これが血の力ってやつか?」

『いや………怪我を治すとかの類じゃない筈なんだけど………。』

あのおじいさんは、相手の力を支配できる力だと言っていた。
それで怪我が治るとは思えない。

『私は何も感じないんだけど………』

「キャプテン、自分で治したの??」

「そんなわけ……無ェだろ………」

ローは息を切らしているが、仰向けのまま
いつもの様子でぎろりと船員達を睨んでいた。

『もう喋ってる!何なの!?』

「お前……何で顔してんだよ………」

ローは体を起こしながら言った。
カナエの顔は、涙と鼻水でとても見られたものじゃない。

『だって……死んじゃうかと………うぅぅ……
見ないで………グス』

また泣き出したカナエにつられて、船員達も涙ぐんでいる。
皆、ほっと胸を撫で下ろした。

『ロー……』

「!」

カナエはローを抱き締めた。
ローが生きている感触を確かめたい。

「………………鼻水つけるんじゃねェよ。」

『後で拭くから………』

キッドに襲われても泣かなかった強がりな女が
今は子供みたいに泣いている。

ローは思い出していた。
昔、同じ様な事があった。
自分の為に顔をぐしゃぐしゃにして涙を流している。
大好きなあの人と重なる。
ローもカナエに腕も回した。
あの時は出来なかった。言えなかった。


「泣くな………俺は生きてる。」

『うん………』







傷口は塞がったが、血を流し過ぎていたローは身動きが取れず
部屋で眠る為、ベポに抱き抱えられ連れて行かれた。

キッド達はダイスケの体力が回復するまで船にいる事になった。
ペンギン達は彼等の怪我の手当てをしている。瞬間移動が無ければ黄猿から逃れる事は出来なかった。
皆は恩返しでは無く、借りを作りたくないと言っている。

「痛ェなてめェ!!もっと上手くやれ!!」

「お前が動くから悪ィんだろ!!」

カナエを襲ったキッドに、ペンギンが地味に
復讐をしている。

カナエは血だらけになった甲板の掃除をしていた。
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