第23章 知らない。
カナエは倒れたヤルキマン・マングローブを見て背筋が凍った。
おかしい。ここに来る筈は無い。
でも、あんな事を出来るのは………
『五郎さん………五郎さんが来る!!』
「あァ!?誰が来るんだ!!」
すると、どこからか槍の形をした光線がカナエ達のいる方向へ目掛けて放たれた。
「ぐァァ!!」
『!?』
犠牲になったのはモヒカン頭。肩を貫かれた様だ。
『モヒカーーン!!厄年か!?』
光線が飛んできた方向に、全員が目をやると
そこには、縦縞模様の黄色いスーツを着たサングラスの男が立っていた。
「トラファルガー・ローにユースタス"キャプテン"キッド………二人とも揃ってるなんて、ラッキーだねェ~~」
肩に掛けたコートには背中に大きく「正義」の文字。大将・黄猿が来た。
「あれが五郎さんか!?」
『違う!!あれ大将!黄猿!!』
「!!」
ヤバイ!!
これは逃げないとガチで死ぬ!!!
『ロー!逃げるよね!?』
「あァ!今は……勝てる気がしねェ……!!」
(ここはダイスケさんにもう一度活躍して貰わないと!!)
キッド達の方を見ると、全員がダイスケの元に集まって来ていた。
あちらも先程の戦いで既にボロボロ。
ダイスケの瞬間移動で逃げる。キッドは同じ判断を下した様だ。
『キッド!!待っ………』
「カナエ!お前も来い!!」
『えっ!?』
キッドはカナエに向けて、手を伸ばしていた。ハートの海賊団を置いて、カナエだけを連れて行くと言う。
そうすれば、お前は助かる。俺の元に来いと。
『そんな事するわけ無いでしょうが!!ハートの海賊団!!集~~合~~!!!』
カナエは腹の底から声を張り上げた。
「カナエ!お前だけだって言ってんだろ!」
『仲間を置いてなんて行かない!!皆!!このマスク男に触って!!!』
何がなんだか分からないが、ハートの海賊団はカナエの必死な様子に、とりあえず言う事を聞く事にした。
集まって来た男達は全員、ダイスケにしがみついている。
「こんなに無理だ………!!」
「死ぬ時は皆一緒かい?泣かせるねェ~~」
いつの間にか高速で移動してきた黄猿が
カナエ達の目の前にいる。
高く上げた足が光を放ち始めた。