第23章 知らない。
シャチの指差す方を見ると、キッド海賊団がいるのが見えた。
その向こうには砂煙に隠れた大きな黒い影。
「アレは………!!!なんで"七武海"がこんな所に………!!!」
キッド達は既に戦っていた。
パシフィスタの前には、モヒカン頭の船員が倒れている。
『モヒカン頭は散々だな……可哀想に……』
昨日、シャンブルズの犠牲になったばかりだ。
「その他大勢!カナエを連れて隠れてろ!!」
「えっ!俺達も戦うッス!!」
「相手は七武海だ!!お前らじゃ敵わねェ!
邪魔だ!!」
「そっ……そんな………」
「いいからさっさと行け!!お前らを失うわけにはいかねェ!!」
「せっ……船長~~~~!!!」
「姐さんは任せて下さ~~い!!」
その他大勢から歓喜の声が上がった。
(格好いいじゃねェか!トラファルガー
・ロー!)
カナエやその他大勢の船員がローの船長っぷりに惚れ惚れしていると
パシフィスタはローに狙いを定め、口から光線を放った。
間一髪、全員攻撃から逃れたが
その場所にはぽっかりと穴が空いている。
後ろからはしつこく追って来る海兵。
先へ進む為にはパシフィスタを倒すしかない。
「手当たり次第かコイツ!!トラファルガー
てめェ邪魔だぞ」
「消されたいのか。命令するなと言った筈だ。
今日は思わぬ大物に出食わす日だ。……さらに「大将」なんて遭いたくねェんで……」
ハートの海賊団、キッド海賊団。
目の前の敵を倒す共通の目的の為、
両者不本意ではあるが手を結ぶ事になった。
「そこを通して貰うぞ!バーソロミュー・
くま……!!」
(始まった!でも、この後は知らないかも……)
カナエ達はロー達から離れたヤルキマン・マングローブの陰に隠れていた。
カナエが知る限りでは、この闘いがどうなるかは描かれていない。
(この先、ローもキッドも、皆生きてるけど……あれは偽者だけど……!どうするの……!?)
冷や汗が滲み出る。
誰も死なないとしても無傷で済むわけがない。
ローは外科医だ。
誰かが負傷しても、手術はできる。
しかし、ロー自身が怪我を負ってしまったら
どうなるのか。