第22章 何してんの!?
「ウッ」
「!!?」
レイリーが客席に向かって視線を送ると、衛兵達が次々と気を失い倒れていった。
漂う空気がビリビリと肌を痺れさせる。
「え!?何で!?何した今!?」
「何だこのじいさん………………!!」
レイリーは会場の状況で何が起こったかを把握し、麦わらの一味以外に覇気を使った。
相手を威圧し気絶させる”覇王色の覇気”。
コントロールが容易ではないこの力を、海賊王の右腕と呼ばれるレイリーは自在に操っている。
「すげェ……あれが覇気か……」
トミダは初めて目の当たりにする覇気に興奮して冷や汗がにじみ出ていた。
「はっ!スズキは!?」
心配になり横を見てみると、カナエはローの腕の中で、泡を吹いてお花畑を見ていた。
「やっぱりな………」
トミダが余所見をしている間に、ケイミーの爆薬付きの首輪はレイリーの手によって外された。
フランキーは鍵を探し当てて来たが、無駄足だったようだ。鍵は他の奴隷一歩手前だった人々に渡された。
覇気を知らないルフィ達が、今起こった事が何なのか言い合いをしていた。
トミダは教える気は無さそうで、黙ってそれを聞いている。
その時レイリーは、今の覇気で倒れなかった海賊達に気付いた。
「悪かったなキミら………見物の海賊だったか………」
ハートの海賊団とキッド海賊団。
カナエ以外の全員が、覇気を難なく持ち堪えていた。
シャチは危なかったようだが。
レイリーは気を失っているカナエを見て言った。
「その娘さんには後で謝っておいてくれ。」
「いや、構わねェ。まさかこんな大物に、ここで出会うとは……」
「”冥王”シルバーズ・レイリー……!!!間違いねェ、なぜこんな所に伝説の男が……」
覇気を使わずとも放たれるレイリーの威圧感に、ローもキッドも体が強ばっているようだ。
レイリーは、その名を呼ぶな、平穏に暮らしたいと言っている。
《犯人は速やかにロズワード一家を解放しなさい!!直「大将」が到着する。早々に降伏する事をすすめる!!どうなっても知らんぞ!!!ルーキー共!!》
外から拡声器を使う、海軍の声が聞こえてきた。
見ていただけのローとキッドだが、完全に共犯者扱いされている。