第5章 血の力
『「あ……」』
部屋に入ってきたのは6人の船員。カナエとローの様子を見て、一番前にいた船員が叫んだ。
「あーーー!!船長!!何女の子襲っちゃってるんスか!ズルい!!」
「シャチ……声がでけェ……」
シャチの後ろにいる、その他大勢の船員は口を大きく開けたり、恥ずかしそうに顔を隠して指の間から見ていたり、とにかく全員驚いている。
(た……助かった。)
ローはカナエから離れて椅子に座り直した。
「こんなに可愛らしい子襲うなんて……船長、趣味変わりました?」
「ちょっとからかってただけだ。こんな処女みてぇな面したガキに手ェ出さねぇよ」
『処女じゃ無い!!』
褒められているのか、けなされているのか、分からなくなったカナエは、とりあえず事実じゃない事は否定しておこうと思った。
『って言うか私の事、女の子だとかガキだとか言ってますけど!皆さんより年上ですから!!30ですからねっっっ!!』
「え……」
船員達は、元々空いていた口が床につく程に空いた。
ローも目を見開いている。分かりにくいが驚いている様だ。
(確かそうだよね……ワンピースのキャラって大体20代くらい……そうなると私よりは年下のはず……何をそんなに驚いてるんだろ……)
船員達はざわつき始めた。
「マジかよ……」
「全然見えねェ……」
「こんなに全てがちっちェ30才がいるのか……」
(そこかよっっ!!大きさかよ!どうせ幼児体型ですよ!)
自分に色気が無いのは分かっているが、他人に色々言われると、やはりショックである。
「でも可愛いなぁ~」
シャチだけが鼻の下を伸ばしている。
好みは人それぞれだ。
(この人変態なのかな……)
もう若くは無いのと、元々のネガティブさもあってか、カナエは可愛いと言う言葉を素直に受け止められなくなっていた。
(ロリコンかも……)
カナエは背筋に悪寒が走った。