第1章 エラー
いつも通り、銃を持って戦場へ行く。
勝つことだけを考えていた頭の中に、彼女の存在が入ってきて何日が経過したのだろう。
心なしか動きが鈍くなり、他人の言葉を気にするようになった。
「最近調子が悪いのか、ロボット君」
「さあ、でも確かに様子はおかしいよね」
「橘に会ってからじゃないか?」
「…まさかぁ」
自分のことを話されているのがわかる。
「橘の話聞いたか」
「え、なになに?」
「あいつ、……」
彼女のことを話されているのもわかる。
気になって戦いどころではない。
こうして弱くなっていくのだろうか。
銃弾が飛び交う中、僕は考えていた。
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「どうしたの?」
彼女がいつもの屈託のない笑顔で話しかけてくる。
彼女の意見が知りたくて、考えていたことを口にする。
「上官は、守るものがあると人は弱くなると言っていたんだ。それは本当なのかな?」
彼女は一瞬目を見開き、ゆっくりと口を開いた。