第1章 エラー
いつも笑顔の彼女が真剣な眼差しで口を開く。
その動作でさえも見入ってしまう。
「確かに…守るものがあると弱くなっちゃうだろうね。けど、自分の弱いところを知ることで強くなれるのよ。何も考えずに人を傷つけるのは、本当の強さじゃないわ!」
彼女の力強い眼差しに吸い込まれていくようだった。
彼女の言葉で、自分の持っている感情の肯定がなされたように感じた。
僕は、彼女に恋してもいいんだ。
「ありが、」
お礼を言おうとした時、近くで爆発音が聞こえた。
「一時避難しろ!」
「敵軍が攻めてきたぞ!」
状況が悪化したのだ。
戦うための格好をしていない僕たちは、安全地帯に逃げようとした。
しかし、封鎖されていたのだ。
あっという間に日が暮れ、視界の悪さも相まって敵に囲まれてしまった。