第1章 エラー
僕のうしろで【敵】が倒れたのがわかった。
「大丈夫だった?」
そう言って彼女は笑いかけた。
敵を早々に撒いて、安全地帯へと入る。
落ち着いたところで僕の方が口を開いた。
「ありが、とう…橘さん」
初めて彼女の名前を口にした気がする。
「名前、知っててくれたんだ!」
彼女は嬉しそうに笑顔を浮かべ、僕の方を見た。
その笑顔にどうしても吸い込まれるように見入ってしまう。
「あなたのことはいろいろ聞いてるよ、戦うために生まれたロボットだってことも!」
彼女は思いの外、僕のことを知っていた。
こんなにも彼女は僕を知っているのに、僕は彼女のことを名前くらいしかわからない。
もっと、彼女と話してみたいと思った。
なぜ、銃口を向けてしまったのだろう。
なぜ、敵に気づかなかったのだろう。
僕は、弱くなってしまったのだろうか。
僕は、恋をしてしまったのだろうか。