第1章 エラー
息を呑むような美しさだった。
そう感じると同時に、自分にはこのような感情が生まれることに驚いた。
まるで、【人の心】を持っているかのようだった。
しかし、頭の中で鳴り響くのは、機械特有のエラー音。
「あれ、ロボット君?」
「もしもーし」
「…もしかして?」
「…まさか?」
みんなが口々に何かを言っている。
僕はそれを認識することができないくらい、彼女に視線を奪われた。
「ロボット君、ダメだよ〜!危険な信号だ」
急に肩を掴まれ、我に還る。
振り向くと上官がいた。
「恋は人を弱くするんだぞ〜、と言っても君はロボットだけども。強い【男】になることを私は望んでいる。わかるよな?」
「わかっています」
少々威圧的な言葉にもすぐに対応できる。
なぜなら僕はロボットだから。
彼女から目を離すと、エラー音は消えていた。