第1章 エラー
「そうだ!いい調子だぞ!」
銃声が鳴り響く中、僕は一点に集中していた。
向かってくる【敵】に、銃口を向ける。
パァン
乾いた音がした。
その場で倒れる【敵】。
それに対して僕は 何も、感じない。
軍事用ロボットとして生まれた僕は、人を傷つけるために作られた。
だから、人を傷つけて自軍を勝利に導く度に褒められた。
「今日もお前がいい働きをしてくれたから助かったよー」
「やっぱりお前は最高のロボットだ!」
「ありがとう、ございます」
一応は話せるように作られている。
声の抑揚はあまりないけども。
「それにしても、橘は頑張るねー」
「ああ、あいつは一人でも果敢に立ち向かっていくからな。たくましいな」
みんなの視線の先に目をやる。
美しい、女性がいた。