第58章 孤爪/媚薬の力
とある薬局で見つけた、
とても…いや、かなりやばいモノ…。
(媚薬…)
しかも強さ5段階中 レベル5!
いけないとは思いつつも…
「ありがとうございました〜」
買ってしまったのです。
*
「で?」
「使ってみない?」
「却下」
で…すよねぇ〜…。
そうカンタンに「いいよ、
媚薬飲むよ」なんて
言ってくれるわけないよね…。
彼氏である研磨くんは もう
興味なし、と言ったように
スマホに目を向けていた。
「…私 帰ろっか?」
「なんで?」
滅多に家に招き入れる事など
ない研磨くんからのお誘いで、
テンション上がっていたのは事実…
でも…。
「なんか…つまらないし
研磨くんには スマホとかあるし
私帰るよ…」
立ち上がって、鞄を持った私を
引き戻すように裾を引っ張られた。
「なんで、行っちゃやだよ!
行かないでっ…!!!」
「ちょ、待って 研磨くっ !!!」
グイグイ引っ張られ、挙句に
すっ転んで研磨くんの方へ
倒れ込んでしまった。
「ちょっと…研磨くん 怪我は?!」
急いで起き上がり、研磨くんの
顔を覗き込むと、うるうると
涙目で私を見つめていた。
「研磨くん…痛かった?ごめんね?
私 重かったよね ごめんね?」
焦って謝ると、首をブンブンと
横に降った。
「名前…帰るって…
ほんとに帰るわけ? 俺は嫌だよ…
まだ…名前といたい…」
そう言って起き上がると、
何を思ったのかさっきの
媚薬の袋を開け、お茶と
一緒に飲み干した。
「?! 研磨くん?!何を?!」
予想外の行動に動揺しつつ、
研磨くんの肩を掴み
こちらを向かせると、もう
薬が効いたのか、目がトロンと
とろけていた。
「えっと…研磨くん」
「名前…好きぃ」
媚薬の力…恐るべし…。
媚薬を飲ませてしまった…?のは
初めてで、とりあえず…と頭を
撫でた。
「ん、名前の手
好き…♪」
研磨くんが吹っ切れている。
死にそうなぐらいに可愛い!
今度は、顔を寄せて、キスをした。
「んっ、んん」
舌を絡めると、媚薬の効果か、
ビクリと体を震わせる。
「ふぅ んん!!!んあああ!」
耐えきれず、口を離した
研磨くんは、どうやらイッて
しまったようだ。
「研磨くん…」
「名前…もっと」