第1章 カラ松
『………な、にこれ。』
胸元に見覚えのないもの。
キスマークと呼ぶには歪で
鬱血したような紫色の痕。
『誰に…つけられたんだっ!』
『…ぃや、知らない知らない。
私こんなの知らないよっ』
『どうやっても隠すのか?』
シャツを引き上げられ
ぐっと近付くカラ松兄ちゃん。
怒りに眉間にシワを寄せ
私の声など届かない形相。
(なん、で…ほんとに私は…。)
『知らな…いっ
昨日、なかった…お風呂の時
なかった…の…わからない…のっ』
『風呂のあと…か、
寝込みを襲われたのか。』
ギリッと歯を食いしばり
苦々しい表情を浮かべる。
グイッと押し倒されて
ベットへと沈み圧迫感に
思わず咳き込んだ。
『げほ…やだ…苦し…。』
『言っても聞かない
教え込んでも…駄目というなら
仕方ないよな、莉瑠。』
カチャカチャッ
何か金属がぶつかり合うような音。
視線を運べばカラ松兄ちゃんが
ズボンのチャックを外していた。
『兄ちゃ…、』
『こんなにも…愛しているのに。』
『や、だ…。』
『思い焦がれているというのに。』
『ねぇ…お願…い、やめて…。』
『お前には届かないんだろうな。』
倒された私の膝裏へと手をかけて
脚を持ち上げられる。
『やだぁっ!やだやだ…
カラ松兄ちゃんやめて…っ』
下着越しに感じた熱い肉棒が
今は何よりも恐ろしいモノへと
成り果てた。
お仕置きと称して愛撫や暴力は
与えられてきたが決して…決して
(最後までは、しなかった。)
『その身体が誰のものか
その身を持って感じてもらおうか。』
暴れようとする身体を
カラ松兄ちゃんは片手で抑える。
男と女の差、
兄妹だとしてもそれは変わらない。
『いやぁ…ぁ…カラ松兄ちゃん…
助けて…カラ松兄ちゃんっ。』
何度も彼の名を呼んで
お兄ちゃんと叫んだ、叫び続けた。
彼の中にある"ㅤ兄ㅤ"が
ストップをかけてくれると願って
しかし、
『…っ、』
下着をずらされた隙間から
無情にもそれは力と共に中へ
中へと…入り込んできた。
『い゙…ぁ゙…っ。』
切り裂かれる激痛に息が出来ない。
『はぁ…っ…力抜けっ…。』
兄の声も届かぬままに…。
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