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愛欲生活。【おそ松さん】

第4章 一松


『ん、』


快楽の余韻の残る身体を
ベットへあずけていると


部屋を出ていた一松兄ちゃんが
戻り水の入ったコップと何かを
差し出した。


『…な、に?』


『薬、飲んで…早く。』


それがデカパン博士からの
薬だと察した。


『ありがと…。』


まだこの薬を知ってから
間もないというのに信じては
飲み込みまた兄からの愛情を
こういう形で受け止めてしまう。


なんて…嫌な慣れなのだろう。


妊娠してしまうかもしれないのに…


ドクンッ…。


嫌な想像をした瞬間、心臓が
大きく鼓動をうつ


『…はっ…はぁ…はぁ…っ』


痛い…痛い痛い痛い…。
心臓が…痛いぐらいに高鳴り
全身に冷や汗が浮かんできた。


落ち着く為にもコップを受け取り
錠剤を急いで飲みこんだ。


水の冷たさが口の中に広がり
喉の乾きを潤しスムーズに薬を
体の中へと運んでくれた。


『……っ、大丈夫?』


私の様子に一松兄ちゃんは
心配そうに覗き込む


『うん…平気、』


きっと今の私は…笑えてない…。


私の表情を悟ったのか
背中を向けて部屋を出ようとした


『あっ…待っ、て…。』


『………なに?』


振り向かずに一松兄ちゃんは
その場に立ち止まる。


今すぐにでも出ていきたいと
背中は語っているのに


『一緒に、寝て?』


今ここで行かせてしまえば
会えない気がしたのだ…。


私のお願いに少し迷った後
渋々と私の横に寝転んだ。


ぎゅっ…と後ろから抱き締め
お腹に腕回して二人で横になる。


『ふふ…あったかい…。』


『………う、ん。』


私の背中に額を擦り付け
抱き締める力を強くした…それは
まるで縋り付いているように


『一松兄ちゃん…おやすみなさい。』


これ以上の言葉は無意味だろう…、
なんて声をかけたらいいかわからない


二人でベットに溶け込むように
眠りにつくことにした。


まどろむ意識の中で
背中から聞こえた小さな声…


『………ごめん。』


その言葉を聞こえないフリをして
抱きしめる腕にそっと手を置いた。


拒絶なんてしないから…
だから、泣かないでなんて


伝えればいいのに
伝えない私は…悪い子なのだろうか。


身体が温もりに包まれながら
私は静かに眠りの底へと堕ちていく





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