第1章 プリンセスの誘惑
そう、彼女はかなりもてる。
公の場でプリンセスとして活躍する際はその凛とした立ち居振舞いで人々を魅了し、少し親しくなると安心するのかちょこちょこ隙を見せる。そのギャップにヤられている男は多い。
おそろしいのは、本人が無自覚である、という事だ。
他国の王子が、これは政治的戦略無しで惚れ込んだな、というのが一目瞭然な様子で交際を申し込んで来た際も、
「おお~、プリンセスの称号の力って、すごいんだねえ」
と、妙な納得をしていた位だ。
ーー何より王宮内に強力なライバルが多すぎる。
だから不安になるし、彼女から別の男の名前が出るのは気にくわない。
(でも、いきなり襲いかかるのは、なしだよね・・ちゃんと謝らないと・・・)
「ローズ様、さっきのこと、なんだけど・・・」
緊張しながらやっとそう聞くと、布団から顔だけ覗かせたローズが不思議そうに首をかしげた。