第1章 プリンセスの誘惑
「怖がらせちゃったよね、ゴメンね・・・」
(謝って済むことじゃないけど・・・)
ローズからどんな返事が来るか怖くてうつむいていると、突然鼻を摘ままれた。
「~何、するんですかっ」
思わず顔をあげて抗議すると、そこには優しい微笑みを浮かべるローズがいた。
「ふふ、やっとこっち見た。ーー私こそゴメンね。ちょっとびっくりしちゃったの。いっつもユーリ優しいから、その、・・・男の人、なんだなあって。だから・・・嫌だったんじゃ、ないからね?ユーリなら私・・・って、ええと、その・・・」
みるみるうちに真っ赤になりしどろもどろなローズに、思わず笑みがこぼれる。
先程までのドロドロした嫉妬心や焦りは嘘のように引いて、穏やかで幸せな気持ちに充たされる。
気がついたら、布団ごとローズを抱き締めていた。
「ありがとう、ローズ様・・・」