第1章 プリンセスの誘惑
「えーと、ローズ様?」
嬉しさと戸惑い半々に、布団の塊に声を掛ける。
「・・・ジルにね、ユーリの方が年下なのに、色っぽくてズルいって話したの。そうしたら、宮廷の貴婦人はこういう格好で寝て、肌に下着の跡を付けないようにしてる、見えない所から努力しているからこそ、魅力的なドレスを身に纏っても自信たっぷりで優雅な振る舞いが出来るのですよ、貴女も試してみてはどうですか、丁度良く服もありますよ、って」
ユーリの脳裏に、笑いをこらえながらローズに朗々と説明したのであろうジルの姿が浮かんだ。
そしてそれを真に受けて、戸惑いながらも意を決してあの衣装を身に付けるローズの姿も同様に。
恐らく今日は、俺が起こしに来る前に起きるつもりだったに違いない。
(ローズ様、完全に遊ばれてるよ・・・)
彼女はとても素直で、一度信頼に足ると判断した人間を疑うという事をしない。
だからレオやジルは勿論、アランやルイまでもが、「ついからかいたくなる」「目が離せない」などと、色々な意味で気にかけている。