第1章 プリンセスの誘惑
息を継ぐ間も与えず唇を貪り、そのまま彼女をベッドへと押し倒す。
彼女に跨がり、空いている手で腰から腹のラインをなぞると、耳朶にそっと口を寄せ囁いた。
「ねえ、ローズ様。こんな格好して、誘ってるの・・?」
自分の行動に面白いくらいに反応する彼女を前に、"小悪魔"と評される妖艶な微笑みを向ける。
「っちがっ、これは、ジルが・・ンっ・・」
ユーリの指摘にようやく自分の格好を思い出したローズが慌てて説明しようとするが、ユーリに再度唇を塞がれ、甘い声しか漏らせない。
ーーローズが着ているのは、先日東の島国から献上された"紗"と呼ばれる着物の一種で、透け感が涼しげで実際暑い季節に好んで着用されるものらしい。
通常は下に何か着て上から羽織る事が多いようだが、ローズはバスローブのように素肌にそのまま着用していた。
その為、形の良い胸が、ほっそりした腰が、足のラインが、なまじ裸になるよりも扇情的に浮かび上がっているのだった。