第2章 再開のスターティングブロック!!
「水…ないね。」
「だから止めとけって言ったのに…」
「あぁ水か!」
拳をポンと掌に打ち付けて、水沙音のもやもやは解決した。
「水沙音…今気が付いたの…」
いくらプールでも水がなければ勝負ができるはずもない。今回はお預けと言ったところだろう。
「そう言えばお前、これを見つけに来たんだろう?」
そういって凛が取り出したのは、あのトロフィー。
「あ、トロフィー…」
「俺はもういらねぇから。…こんなもん。」
最後の一言は小さく、凛はそっとトロフィーから手を離すと背を向け消えてしまった。カチンと音を立てて転がるトロフィー。
「凛ちゃん…なんか、変わっちゃったね…」
彼らの知らない凛の姿に、少しさびしいと感じた。