第2章 再開のスターティングブロック!!
「…ねぇ、そう言えば知ってる?小学校の時通ってたあのスイミングクラブ。もうすぐ取り壊しになるって。」
階段を降りながら渚が最近仕入れた情報を伝える。遙の目が止まり、水沙音は一瞬止まった。
「だからその前に…」
最後の数段を飛び降り、渚の突拍子もないアイデアは再び素晴らしい回転を見せた。
「皆で行ってみない?」
「あれを掘り起こしに?」
「そう!夜にこっそり忍び込んで…」
「行くなら勝手に行け。」
「そんなこと言わずにさぁ!」
興味のなさそうな遙を必死に制止しながら渚は続ける。
「ハルちゃんも行こうよ!」
「行かない。」
背を向けた遙に飛びつきながら渚はまだ言い募る。
「おもしろそうだと思わないの?」
「思わない!」
崩れ落ちる渚。しかし、今度は真琴が声をかけた。
「面白そうだし行ってみようよ。」
「いやだ。めんどくさい!」
「でも行けばプールもあるよ。風呂場とかじゃなくて、もっと大きな…プール。」
「(さすがまこちゃん。)」
水沙音はこっそりケータイを取り出すとメールを一通送信した。相手が読んでくれることを信じて。