第2章 再開のスターティングブロック!!
「ほんと何年振りだろう。スイミングクラブが閉鎖してから会わなくなったもんな~。」
「うん。僕、ハルちゃん達と違う学校だったから余計にね。」
屋上は風が気持ちよく、春の香りを運んでいた。水沙音はこの感じが好きだ。目を閉じて三人の会話に耳を傾けていると、渚がプールを発見した。
「あ!プールのそばに桜の木があるんだ!確か、ハルちゃん達の小学校のプールにも桜の木があったよね?」
「だからちゃん付けはやめろって。」
「だって、ハルちゃんはハルちゃんだし…」
遙の鋭い目と渚の純真無垢な目が合う。それを断ち切るかのように真琴が少しさびしげに言った。
「だけど、あのプール使われてないんだ。水泳部もない。」
「それじゃぁ、今はどこで泳いでるの?」
渚の問いに遥が答えるまで数秒かかった。水沙音悲しげな眼で遙を見るだけ。
「競泳はもう止めた。」