第1章 契り(加州清光)
主が戦いを嫌がるのは、俺のせいなのか。
三日前の、あの負け戦が嫌でも脳裏に浮かぶ。
「……ねぇ、俺が弱いからダメなの?」
「違う、そんなこと無い!」
すごい剣幕で否定に掛かる主。ただそれだけでも俺は少し救われる。
「私がいけないの。中途半端な気持ちで、審神者になんかなったせいで…清光に、怪我させて…」
握った手は僅かに震えてた。
「……弱いのは、私…なの」
段々と声が尻すぼみに小さくなっていく中、辛うじてそれだけが聞き取れた。
力無く膝から崩れて、主は俯いて何度も謝った。
消え入りそうな声で、ごめんね、と言葉が零れ落ちる度、心の臓が握り潰されるみたいに痛かった。
今にも泣き出しそうな、苦しそうな主を見ていられず、俺は恐る恐る小さな背中に手を回す。
その手が振り払われない事を確認して、それから細い体を抱き寄せた。