第3章 政府からの極秘任務!(加州清光)※
ずちゅ、ずちゅと結合部から卑猥な水音が響く。
「痛い?」
「んっ…わから、ない」
痛いとも気持ちいいとも言えなくて、ただ私の中に清光がいるという不思議な感覚で満たされていた。
おもむろに鎖骨の辺りに顔を寄せると、唇から伝わる熱と共にチクリと僅かな痛みを感じた。
「これから主は他の奴らにもこうやって抱かれるんだよね」
皮膚に残ったのは、赤い、赤い、鬱血痕。
彼の瞳に宿る色。
その縁を愛おしそうに指でなぞると、彼はゆっくり顔を上げた。
「もっと印……付けていいかな」
そう言う清光は今にも泣きそうな顔をして笑っていた。
その表情を見て、私は自身の軽薄さを酷く後悔した。
罪悪感と自己嫌悪があっという間に心に満ちて、私もおんなじ顔をした。
「清光の、好きにして」
そう許可すれば、主、主と呼ばれる度、ひとつ、ふたつと赤い華が増えていく。
「俺、主のこと好きだよ」
冗談混じりの言葉で向けられた感情が主従の親愛以上の熱を孕んでいた事くらい、鈍い私にもわかった。
「私も、清光の、こと… …好き」
ただそれは"も"であって、"が"ではないのだ。
再び深い口づけで交わる私達は、
同じ言葉ですれ違う。
「好きだよ」
「うん、私も好き」
-end-