第3章 政府からの極秘任務!(加州清光)※
「…へぇ、この容れ物に俺らのセーエキを集めて、政府に提出するってことね」
研究自体は素晴らしいし、大いに結構だと思う。でもね、問題そこなんだよ。
何故収集するDNAのサンプルが精液なの?
頭おかしいんじゃないの?
使い古された表現だけども、こういう時ホント日本人は未来に生きてるって思う。
「協力しないと減給とか、ツイてないね主も。石切丸にお祓いでもしてもらったら?……あ、俺のみっけ」
ガサゴソと段ボールを探り、さっそく自分の名の入った容器を見付けた清光。
「……なんで清光はそんな楽観的なの?」
若干涙目になりつつ問う。対照的にヘラヘラと笑う清光は楽観的っていうかなんだかこの状況を楽しんでるような気すらする…。
「なんでって、そりゃ主が困ってたら助けたいし、それにさ……」
鼻と鼻がぶつかりそうな距離まで一気に詰め寄られ、反射的に肩がビクリと跳ねる。
鋭く光る緋色の瞳に見つめられると、どんな魔法か身体はそのまま石のように固まって動けなくなる。
「主とイイコトできるんでしょ?」
瞳と同じ鮮やかな朱に染められた指先が私の冷えた指先に重ねられ、一本一本の指の間まで絡み付く。
「…っ、イイコトだなんて…」
馬鹿なこと言わないで…なんて抗議の言葉は、塞がれた唇の中で溶けて消えた。
「ねぇ主、試しに一回……俺とシてみない?」
透明な糸で繋がったもう一つの唇が紡ぐ、甘く優しい誘い文句。
どうしよう、頭がくらくらする。