第3章 政府からの極秘任務!(加州清光)※
「あーるじー、さっき話してた明日からの内番の件だけどさ」
唐突に襖が開かれたのと同時に、私は慌ててその箱を後ろ手に隠した。
「き、清光っ!開けるときは声掛けてっていつも言ってるでしょ?」
「えー、声掛けたじゃん」
「開けるのと同時じゃ意味ないでしょう!…それで、えっとなんだっけ、内番の話…だよね…?」
「それよりさ、」
清光はしゃがみ込んで私の後ろを覗き込む。
「今何隠したの?チョー気になるんだけど」
いたずらっぽく笑いながら首を傾げる。ちりん、と揺れるピアスと猫みたいな瞳。その仕草は本来たまらなく可愛いいのだが、今の私はそんな戯れ言を言っている余裕が無い。
「き、気のせいだよ!何も隠してなんか無いよ!」
「相変わらず、主って嘘つくのヘタだよね…」
「なんだと…って、ぐぁ!」
片手でおでこの辺りを抑えつけられ、例の箱はいとも簡単に清光の手に渡る。
「コラ清光っ、ちょっ、本当ダメだって!開けないで!!」
そんな悲痛な叫びが受け入れられる事など無く。
清光の旺盛な好奇心によって、私は(社会的に)殺されたのであった。
「何これ……?」
清光がつまみ上げたソレは、前時代的と言われる事もある避妊具…いわゆる"コンドーム"というものだった。
「せ、政府から送られてきたんだよねー。私も何に使うかサッパリ分からないんだけど…」
「だから、嘘ついてんのバレバレだって」
興味津々の彼と、隠し通したい私。二人の押し問答は暫し続いたが、痺れを切らした清光が私宛の書類に手を着けるまでそう時間は掛からなかった。
私と彼の力の差では取り返そうとするだけ無駄なので、肩を寄せてあからさまに[極秘]と書かれている資料を覗き込む。
そこには驚くべき内容が記されていた。
要約するとこうだ。
今まで不確実な資料から読み取ることしかできなかった過去の歴史を、人の姿として顕現した刀達のDNAから
解析する研究が進んでいる。
今回私に課せられたミッションは単純に言うと、彼らの"とある物"を採取してして欲しいとのことだった。