第2章 幸せな微睡み(歌仙兼定)※
「おやおや、まるで主従逆転だね。でもそんな可愛いこと言われたら……泣いて叫んでもやめてあげないよ」
ふわりと笑う、とろけるような顔と発言の過激さが頭の中で上手く噛み合わない。
呆ける私の両の手を先程解いた浴衣の腰紐で、素早く器用に縛り上げる。
「えっ、何これ」
「抵抗しなくて良いのかい?それとも身動き出来ない状態で犯されるのが実は好みだった?」
自由を奪われた腕は、痛みこそ無いが決して自分では外せないように結ばれており、不安が込み上げる。
「お願い、これとって」
「言っただろ、もう途中でやめてなんかあげないよって」
歌仙はまともに取り合ってくれないどころか、強引に私の太ももを開かせる。
「ああ、とても厭らしい眺めだね。まさに風流だ」
腕を縛られ全裸で股を開かされる私と、対照的に整った着物のまま、満足気に見下ろす歌仙。
「今日の歌仙…いじ、わる」
「主が暴いた僕の本性だよ。責任、取ってくれるね?」
歌仙は自分の着物を緩めると、反り返った自身を蜜壷に宛てがう。溢れた蜜を掬って入り口を擦り付ける様に二、三度刺激した後、ずぷずぷと腰を沈める。
「んっ、あぅっ」
散々指で慣らされたせいで挿入自体に痛みは感じなかったが、一気に最奥まで捩じ込まれた苦しさにまた涙が出る。
「すぐに気持ち良くしてあげるよ」
覆いかぶさる様に抱き締められ、耳元で優しい声がする。抱き返せないのがもどかしい。