第2章 幸せな微睡み(歌仙兼定)※
ゆっくりとした動きで、でも確実に。私の一番敏感な所を突き上げてくる。声を漏らさぬ様、唇を噛み締めて耐える。
すると歌仙は唐突に私の目の前へ人差し指を差し出し、舐めて?とにっこり微笑む。
初めての申し出を不思議に思いながらも言われるがまま、歯を立てない様に歌仙の指を咥える。
「そう、いい子だね…」
少しだけ、と思って指先を咥えた筈なのに。口内に入るや否や細い指は暴れ出した。
「あうっ、んっ、やぁっ…やあぁっ」
口をこじ開けられ、否が応でも情けない声と涎が垂れ流しになる。
そんな私をみて恍惚の表情を浮かべる歌仙。
「やっと可愛らしい声が聞けた」
縛られた腕で抵抗しても、鍛えられた腕にはまるで敵わずすぐに無駄だと悟って。
歌仙の律動に合わせて喘ぐ自身の声に脳は焼き切られ、どうにでもなってしまえと、思考を放棄する。
もう声を我慢する事は無く、本能に、与えられる快楽にただ従う。
「あっ、歌仙っ…キモチいっ、よぉ」
「僕もだよ。…天にも登りそうな気分だ」
愛している、。
白濁の欲が注ぎ込まれる瞬間、彼に名前を呼ばれた気がした。
(初めて名前、呼ばれた……)
遠くなる意識。私が目覚めた時、きっとそこに歌仙はいないのだけれど、もうあの喪失感を感じることは無い。
は穏やかな微睡みに身を委ねた。
[了]