第66章 青い海、白い砂浜
『ちょ、くすぐったい…』
巴形「我慢しろ」
胸が終わればお腹、そして太ももにかけて順番に塗られる
その手のひらで撫でられるような感覚がくすぐったくて、身体がピクっと反応してしまう
『巴……』
巴形「主の肌は滑らかで柔らかいな」
『そんなこと…んっ』
巴形「そんな声を出すな…その潤んだ目も……」
くすぐったさにいつの間にか涙目になっていた私は何だか恥ずかしくなり目を逸らした
そんな私の頬を巴形は優しく撫でてきた
巴形「可愛いな、主」
『か、かわいくなっ……』
そんな甘いムードの中、少し離れた場所からドスの効いた叫び声が聞こえてきた
長谷部「巴ぇぇぇぇぇぇぇえええ!!!」
今にも地響きがしそうな勢いで走ってくる長谷部
私はびっくりして長谷部の方を見た
『……!?』
巴形「……邪魔が入ったな」
巴の言葉と共に、息切れもしてない長谷部が鬼の形相で突っ込んできた
長谷部「貴様ぁ!主に何をしてる!!!」
巴形「日焼け止めを塗ってくれと頼まれたから塗っていただけだが…何か問題か?」
その言葉に長谷部は私の顔をバッと見た
長谷部「日焼け止め……あ、主!なぜ俺ではないんですか…!巴形に頼まなくても、俺に頼んでいただければいくらでも…!」
『え…あ、ごめん…巴が頭に浮かんだからつい…』
長谷部「主……なぜ巴を……くっ」
長谷部は余程悔しかったのか、その場に跪き顔を伏せてしまった
『ごめんってば…そんなに落ち込まないでよ…あ、ほら!まだ背中塗ってないし、長谷部に背中塗ってほしいなぁ…!』
長谷部「主命とあらば!!!」
そんな私の言葉に長谷部は立ち直ったかのように立ち上がり、目をキラキラさせた
……犬だ…尻尾と耳が見える……
そう思いながらも事は丸く収まり、背中は長谷部に塗ってもらうことにした