第59章 たまには二人きりで
『不動…?起きてる?』
部屋に入り、不動の顔をちらっと覗けば目を瞑って寝ている様子だった
……なんだ、ただ寝てるだけじゃん
別にいつもと様子なんて変わらないような……そう思いながら不動の寝顔を見ていれば、視線に気づいたのか不動は目を覚ました
不動「ん……主…?」
『あ、ごめん…起こしちゃった?』
不動「いや、別に大丈夫だよ」
目を擦りながら上体を起こす不動
…………特に変わった様子はないんだけど…確かに長谷部が言っていたようにちょっと何か足りないような…話してて違和感を覚えるこの感じ…
いったい何が…!?
『あの、不動?』
不動「ん?どうした?」
『……ほんとに不動?』
不動「そうだけど…?」
私の言葉に不審そうに首を傾げる不動
この子は紛れもなく不動らしい…でもなにか物足りないような…
不動の顔をよく見ていれば、私はハッとした
『……不動が酔ってない……!』
顔を見ると頬も赤くなくて、何だかだらけた感じもない
酔ってない不動はこんな感じなのか…
そう思いながら私は不動をよく見てしまう
すると、不動は少しだけ笑いながら口を開いた
不動「今更だね。主が俺の甘酒を買い忘れたせいで、もう酒が抜けちゃったよ」
『…………いや、誰やお前……!』
酒が抜けただけでそうそう変わるもんじゃない!
こいつは不動であって不動じゃない…!
何者だ…うちの不動はこんなに凛としてないぞ…!
私は不動から少しだけ距離を置いた