第57章 曲がり角には気を付けよう
粟田口の部屋を後にし、私は長い廊下を一人歩く
『はぁ、なんか疲れた…今日いいこと無さすぎるよ……』
そんな独り言を呟きながら歩いていれば、前方から見慣れた姿が歩いてきた
『あ、和泉守』
和泉守「……!あ、主っ……!」
和泉守は私の顔を見るなり、嫌そうな顔をした
な、なんだ、その顔は…!
あれか…さっきキスしたから避けてるのか?
私からしたわけじゃないし……私悪くない?
そんなあからさまに顔に出さなくても……
とりあえずキスの理由でも聞いておこうか…気になるし!
『和泉守、さっきのキス……』
和泉守「い、言うな!忘れろ……!!!」
キスの話を持ちかけようとすれば、言葉を遮るように話し出す和泉守
その顔は真っ赤で、すごく恥ずかしそうだった
『あ、いや……うん、忘れるのは無理』
和泉守「…っ……!」
その言葉に和泉守はバッと私を見れば、私に背を向けて走って逃げていってしまった
『え?ちょ!待ってよ…!まだ話終わってないから!!!』
そんな和泉守を私は走って追いかけた
和泉守「俺は終わった!話すことなんてねぇ!!」
『私は話すことあるから…!!!って、ひゃっ……!』
その姿を追うようにダッシュしていれば私は曲がり角で誰かにぶつかってしまった