第56章 人妻好きなキミからのお願い
後藤「薬研、何やってんだ……って、大将!?」
信濃「あ、大将!来てくれたの?嬉しいよ」
厚「薬研、くっつきすぎだろ」
気になったのか大将組がわらわらと入口にひょっこり顔を出した
いやいや、待てよ
今会いたいのは大将組じゃないんだよ!
包丁だよ包丁!
ただお菓子渡しに来ただけだし、早くナース服脱ぎたいんだよ!
こんな格好で本丸をウロチョロしたくないんだよ……包丁、お前どこいったんだよ……
気が遠くなる中、私に抱きついている薬研を退かし、信濃が代わりに抱きついてきた
信濃「大将何その格好、可愛い!」
『そ、そうかな?』
厚「おう、すげー似合ってるぜ!」
とびっきりの笑顔で褒めてくれる二人
なんだか照れくさいけど、褒められるのも悪くない…!
『あ、ありがとう…』
礼をいえば抱きついている信濃がスリスリと擦り寄ってきた
その姿が可愛くて私は優しく頭を撫でた
そんな中、あまり話さない後藤が気になりふと目をやれば何故か顔を真っ赤にして俯いていた
なんで照れてんの…可愛いけど
そう思いつつ、私は後藤に声をかけた
『後藤?どうした?』
後藤「!あ、……いや、その……」
『?』
後藤「……か、可愛い……」
ぼそっと吐いたその言葉に、私の心臓は打ち抜かれた
照れながらの褒め言葉はダメだよ…破壊的すぎる!
私は心の中で悶絶していれば、信濃に手を引かれた
信濃「大将、可愛いからちょっとゆっくりしていってよ」
厚「だな!時間あるだろ?」
厚は私のことを暇人だと思っているのか…!
クッソ……まぁいいけど!可愛いから!
薬研「大将は包丁に用事があるんだろ?それなら部屋で一緒に待ってようぜ」
『え、いや……でも』
薬研「この部屋で俺たちと安全に待つか、その辺ふらついて他の刀剣に食われるか…どっちがいい?」
『待たせていただきます!』
薬研「よし、いい子だ大将」
そう答えた私の頭を優しく撫でてくれる薬研
やっぱりお前は短刀じゃない、そう感じた瞬間だった