第56章 人妻好きなキミからのお願い
部屋を出た私は、包丁が居るであろう粟田口の部屋へと向かった
こんな格好で誰かに会うなんて嫌だったけど、無事に廊下では誰にも会わずに済んだ
暫くして、私は粟田口の部屋の前に来た
『さてさて、包丁はいるかな…』
そんな独り言をぼそっと呟き私はゆっくりと部屋の襖を開けた
薬研「お、大将」
『……………………間違えました』
私は薬研と目が合った瞬間すぐに襖を閉めた
待って、粟田口で一番会いたくない奴に会ってしまった
こんな格好の時に会いたくないよ!
だって薬研だよ?薬研!
奴はダメだって…短刀詐欺なんだから奴は…
……って、前にもこんな事あったような…
あ、まんばくんにYシャツ借りた時だ…
服装がやばい時に遭遇する…薬研め、間が悪い子!
そんなことを廊下で考えていれば、襖がバッと開いた
『!?…………』
襖が開いた方にバッと振り向けばそこには薬研が立っていた
薬研「大将何やってんだ……って…」
衣装に気づいた薬研はじっと上から下まで見つめてきた
『……ちょ、……み、見ないでよ!』
薬研「随分とエロい格好してるな大将」
『こ、これは包丁に頼まれて……』
薬研「なんだ、俺のために着てくれたんじゃないのか」
『当たり前です、なぜ薬研のために着るのかちょっと意味がわからない』
薬研「けど、似合ってるぜ?たーいしょ」
そんなことを言いながら、薬研はこちらに近づきぎゅっと抱きしめてきた
危機です、とても
薬研に抱きしめられるがままでいれば、部屋の中から他の刀剣たちが出てきた