第56章 人妻好きなキミからのお願い
包丁「思いだした?」
目の前に座っている包丁が私の顔を覗き込んでくる
そんな包丁の顔を見ていれば、約束をハッと思いだした
『あ!思いだした!』
私は慌てて箪笥を漁れば、以前包丁から貰ったナース服を取りだした
『これだよね?』
そう言ってナース服を見せれば、包丁は満足そうに笑った
包丁「そうそう、これこれ!これ着てお菓子持ってきてくれるって言ってたのに全然来ないから」
『ご、ごめん…忙しくてさ…!』
包丁「刀剣達とラブラブする暇はあるのに?」
包丁は何か悟ったようにそう伝えてくる
…さっき堀川と見つめあってたこと言ってるのかこの子…!
小さいけど侮れないな…べ、別にラブラブなんてしてないし…うん…!
『ラブラブなんてしてないよ…!ただ仕事の話をしてて…』
包丁「仕事の話するだけでそんなに見つめあうなんて変だよ!」
…ごもっともです
私は何も言えなくなってしまった
だって包丁の方が正しいこと言うから!
あぁ…自分の心の汚れが嫌だ…
ガクッと落ち込んでいれば包丁が私の腕をつんつんとしてきた
その行為に私は顔を上げて包丁に目をやった
すると、包丁はにっこり可愛い笑みを浮かべて口を開いた
包丁「今からこのナース服ってやつを着てお菓子届けに来て!俺待ってるから!」
それだけ伝えれば、包丁は部屋から出て行ってしまった
『………………』
可愛いけど、絶対にナース服は着るようなのね…
折角部屋まで来てくれたんだからそのままお菓子だけ持っていけばいいのに…!
まぁ、折角貰ったし…着なきゃだよね…!
そう思い、私はナース服に着替えることにした