第51章 我が本丸の様子
部屋を後にした私は、誰かいないか周りを見渡しながら廊下を歩く
縁側から外を見れば、生憎の雨でついため息が出てしまう
『はぁ……雨って気分下がるなぁ…』
少し足を止めて、空を見上げれば先ほど不動に言われた「キス下手くそ」が頭に浮かんだ
『……キスの練習するべき…か……』
って、いやいやいやいや!
何言ってんの私!
キスなんて練習するものじゃないし…下手でも別に困らないし!
くっそ、不動め…アイツこそキス下手なんじゃない?
…されたことないから知らないけど…
『って、やめーい!何考えてんの私…キス出来なくても生きていけますー!』
邪心を払うように首をブンブン横に振った後、つい雨空に叫んでしまった
そんな乱れた息を整えていれば、すぐ隣から声が聞こえた
明石「キスが…なんですか?」
『うわっ…!明石……!』
いきなりの明石に私は一歩身を引いてしまった
すると明石は眉を下げながら笑った
明石「…その反応、傷つきますわ…」
『あ…いや、ごめん…いきなりだったから…』
明石「ぼーっとして、叫んで…主はんは、ほんと忙しい人やな。……そんなにキスしたいん?」
『は?そんなこと誰も言ってないし…!!!』
くっそ…よりにもよって何故明石に聞かれてしまったんだ…!
そう思いながら私は頭を抱えたくなった