第29章 帰ろう、本丸に
『あ、そう言えば…薬研と厚と浦島と物吉は手入れするから後で部屋に来てくれる?』
名前を呼ばれた4人は目を見開いて驚いた。
薬研「!なんで分かるんだ?怪我してるって……」
『いや、見てたから…?薬研が一番酷かったね…ごめんね?』
薬研「いや、これくらい擦り傷だから気にするなよ、大将」
そう言いながら薬研は微笑んだ。
殴られた4人の口元には血が滲んでいてとても痛々しかった。
これは早めに手入れしたいな……罪悪感で潰れそう!
前任とは言えども、私のこの拳で殴ったわけだからな……てか前任怪力かよ…。
とりあえず部屋で手入れしようかな。
『私は一先ず部屋に戻るね?手入れは順番にするから……誰からやる?』
私の言葉に4人は顔を見合わせた。
すると物吉が私の近くに来て軽く頭を下げた。
物吉「ボクが先に行きます!それと、お部屋までお供します!」
『ありがとう物吉、じゃあ先に行こうか!』
物吉「はい!」
そして、私は物吉と部屋へと向かった。
部屋に行く途中、物吉はずっと私の顔を見ていた。
『ん?どうしたの?』
物吉「あ、いえ…!こうして主様と2人きりになった事がなかったので…つい」
確かに物吉と2人きりになったことは無いかもしれない。
そして今、少し頬を赤らめて俯いている物吉はすごく可愛い
『可愛いなぁ、物吉…2人きりでお手入れだよ?』
物吉「は、はい!少し、緊張します……」
初々しくて可愛い…
いやぁ、やっぱり本丸に戻ってきて良かったと心底思った。