第29章 帰ろう、本丸に
前任と言えども、姿は私だったから皆は私を嫌ったのだとばかり思っていた。
それなのに現実は全く違くて……帰りを待っていてくれた刀剣達。
本当に、嬉しい…そんな嬉しさに涙が止まらなかった。
『ありがとう…皆…』
岩融「守ってやれなくて、すまんかった」
今剣「辛い思いさせてごめんなさい…もう、主を離したりしませんから!」
そう言いながら、今剣は私を抱きしめながら髪を撫でてくれた。
そんな今剣を私は抱き締め返した。
『私こそ、ごめんね…?私も、もう手放さないからね…』
前任に負け、皆を守れなかった私に責任があると思う。
守るって決めたのに……負傷させちゃったし…。
そんなことを考えていたせいで表情が暗かったのか、小夜と包丁が近寄ってきて抱きついた。
包丁「主…俺のこと、嫌いになってない…?俺、もっといい子になるから…嫌いにならないでよ…」
小夜「……主に嫌われるのは、嫌だ」
2人の言葉に、私は更に涙を零した。
こんなことを言わせてしまう自分が情けない。
私は強く2人を抱きしめた。
『嫌いにならないよ…ずっと大好きだし、私にとって大切な存在なんだからね、皆……』
その言葉に2人も皆も安心したように笑みを浮かべた。