第29章 帰ろう、本丸に
あれから何時間くらい眠ったのだろう。
すごく安心して眠れた気がした。
そんな中、遠くから誰かに呼ばれる声がした。
「……きろ…」
『……ん…』
小烏丸「そろそろ起きろ」
身体を揺さぶられ、私はゆっくり目を覚ました。
『ん……んん……、あれ…私…』
小烏丸「眠っていたんだ、ぐっすりとな」
『いつの間に……!』
小烏丸「眠った時は驚いた…まぁ、相当泣き疲れていたんだろう」
小烏丸は優しく頭を撫でてくれた。
そして、私は眠る前のことを思い出した。
『はっ!そう言えば…前任は!?』
小烏丸「それなら、大包平と言う刀が退治してくれたから、もう安心するといい。さぁ、本丸に帰ろうか。主の本丸に」
小烏丸はこちらに手を差し出してくる。
だが、私は素直にその手を取れなかった。
『……私、皆に嫌われてないかな…前任とは言えど…見た目は私だったし…。それに、合わせる顔、ない……』
俯いた私に小烏丸は髪を撫でてくれる。
小烏丸「そんなことで嫌うなら、それまでの関係性だったってことよ。本当の信頼があれば、何があっても壊れることは無い。父はそう思うぞ?」
『…自信……ない……』
小烏丸「はぁ…けども、この空間にずっと居ることは出来ぬ…。そうだ、我が本丸まで連れて行ってやろう。その間、主は眠っているといい……」
小烏丸なまえに手をかざせば、催眠をかけたようになまえを眠らせた。
そして、お姫様抱っこをすれば真っ白な世界から脱出し本丸へと向かった。