第28章 前任の憑依
にっかり「っ、怨霊と言えど……主の身体だから安易には斬れないね……」
大典太「俺の霊力じゃ……足りないのか…っ」
手の付けられない前任に、斬ってしまおうか悩んでいるにっかりだが、大好きな主に傷を付けることは出来ないと躊躇っていた。
『「アンタ達、刀解してやる……そうすれば、あの女だって絶望に満ちる…フフフ」』
すると、取り囲んでいた刀剣達を吹き飛ばし、先程殴ったせいで弱っていた薬研の胸ぐらを掴めばニヤリと笑った。
薬研「っ……」
一期「薬研!!!」
大将…、ごめんな……
最後まで守ってやれなかった…
先に……逝ってるぜ…
折られる決心をし、ぐっと目を閉じれば見知らぬ声が広間に響いた。
それと同時に、前任が薬研から引き離された。
?「そこまでだ」
『「いった…い!離せ!」』
?「痛い?痛いと感じるなら、早くその身体を手放せばいいだろう、そうすれば痛みも感じなくなる」
謎の人物は有無を言わせない勢いで、更になまえの腕を強く掴んだ。
『「っ、なんでっ……!」』
?「まぁ、お前がこの身体に居座ると言ってもそれはさせない。……俺に殺されるんだ、名誉に思え!」
そう言えば、手に持っていた御札をなまえの心臓辺りに押し付けた。
『「はぁっ……ぁあ!!」』
前任が苦しみ出したと思えば、その札に吸い取られるように悪霊が身体から抜けていくのが目に見えてわかった。