第20章 癒しの時間
一期side
お風呂を出て、弟達が眠っているであろう部屋に向かった。
泡の片付けで思いの外遅くなっちゃったな……主と弟達は大丈夫かな?
そんな不安を抱えながら部屋に着けば、静かに襖を開けた。
すると、ぐっすり眠っている弟の姿があった。
一期「まったく……ちゃんと布団を被らないと…風邪引くだろう……」
めくれた布団をかけ直しながら、眠っている弟達に向かって私は声をかけた。
そして、自分の布団に着こうと近付けば主が横たわって眠っていた……布団も被らずに。
一期「主…!?」
私は驚いて大きめの声が出そうになったが、皆が起きてしまうため何とか抑えた。
でも、どうして主が……
寝かしつけたまま眠ってしまったのかな?
私はそう思いながら主に布団をかけた。
一期「手足が冷たい…主、風邪ひきますよ…本当に」
私は、主の隣に座りそっと髪を撫でた。
規則正しい寝息、長い睫毛、可愛らしい顔立ち。
主をこんなにじっくりと見たのは…初めてかもしれない。
主なはずなのに、何だか妹を見ているような気分になるのはなぜだろう。
子供っぽい部分もあるけど、しっかりと皆を愛してくれる立派な主なんだね…キミがこの本丸の主になってくれて……弟たちも、他のみんなも毎日楽しそうだよ…?
一期「ありがとうございます…主殿。……ん?」
そういって再び髪を撫でていれば、主の目元に一筋の涙がこぼれているのに気付いた。