第15章 宴の開幕
そんな私に気付いた石切丸が顔を覗きながら首を傾げた。
石切丸「何だか眠そうだけど、大丈夫かい?」
『え?あ、あぁ…さっき飲まされたお酒が今になって回ってきたのかも』
目を瞑ったらこのまま寝付けそうな勢いだ。
でもまだ寝るには早いよね……!
小狐丸「無理は禁物ですよ?」
心配そうな眼差しを向けてくる小狐丸。
『ありがとう!でも最後のテーブル残ってるから、それだけ済ませてくるね?』
三日月「ほう、主は働き者だな」
にっかり「気をつけて行くんだよ?酔った勢いとは、怖いものだからね」
にっかりが何やら意味深い発言をしてきた。
まぁ、確かに酔った勢いって怖いのはよく分かると納得してしまう。
『ありがと。じゃあそろそろ行くね?皆も残り楽しんでね!』
私はみんなに一言告げれば、最後のテーブルへと移動した。
最後のテーブルは、夕方ケーキ作りを手伝ってくれた髭切と膝丸だった。
私はそのテーブルに近づき声をかけた。
『やっほー、2人とも。飲んでる?』
髭切「やぁ、いらっしゃい……って…酔ってるのかい?何だか顔が赤いようだけど…」
顔を覗き込みながら首を傾げる髭切。
それに吊られ、膝丸も私の顔を見てきた。
膝丸「確かに赤いな…もう酔ったのか?」
『うん…少しね?まだそんな酔ってはいないけど』
先程まで知らない刀を相手する時間が長くて疲れ気味だったが、気心しれている刀が居るってこんなにホッとできるんだなぁ…と私は内心思った。
髭切「酔いが酷くなる前に部屋に戻るんだよ?」
『うん!ありがとう!そうするね?あの、折角だから2人が手伝ってくれたケーキ食べない?私まだ食べてなくてさぁ』
ずっとあっちこっちテーブルを回っていたため、美味しそうなケーキを食べ損ねていた。
髭切「うん、じゃあ一緒に食べようか」
膝丸「それなら俺が取り分けよう」
お皿に3人分を取り分けてくれる膝丸
なんて気が利くんだ…!
いい子だね、ほんとに…
そんなことを考えていれば、膝丸がケーキの乗った皿を目の前に置いてくれた。
『ありがと!じゃあ、いただきまーす』
私は1口ケーキを食べた。
『うっま…愛情たっぷりだから美味しいのかね〜』
髭切「みんなで作ったから尚更美味しいね」
膝丸「あぁ、うまいな」