第15章 宴の開幕
『穢れてなくて良かった〜……』
胸を撫で下ろしながらホッとした。
まだ死にたくはないと更に想いが強くなった。
いつ斬り殺されてもおかしくない状況に生きてるからね!
小狐丸「穢の気がないなら、少しは安心できそうですね」
『私は安心な存在だから!……って、名前は小狐丸なのに…すごく大きいような……?』
名前には小とついているのに、見た目は大きめ…なんかギャップがたまらないかもしれない。
小狐丸「……遠慮ですよ」
『遠慮?別に大狐丸でもいいような……』
小狐丸「いいんです。私が小!大きいけれど!」
え……なんか愛らしいかも。
可愛いと感じてしまう私は末期だろうか。
『…よしよし』
つい、私は小狐丸の頭を撫でた。
すると小狐丸は気持ちよさそうに目を細めた。
小狐丸「…ぬしさまに、こうして触られるのは変な感じですね。こうして撫でられることも、今まで全くなかったので」
嬉しい半面、寂しそうな顔をしながらうっすら微笑んだ。
その顔に、私は切なさを感じた。
『なら、私がたくさん撫でてあげるよ!今までの分もたくさん!』
その言葉に驚いたような顔をする小狐丸だが、すぐに笑顔に戻った。
小狐丸「ありがとうございます…ぬしさま」
なんだろうか、すごく可愛い…
大きいのに可愛いかもしれない!
私はたまらずに再び小狐丸をわしゃわしゃ撫でた。
『小狐丸の髪柔らかくてサラサラ〜……』
小狐丸「普段から毛艶を整えておりますからね。ぬしさまに褒めていただき嬉しいですよ」
さっきより笑顔が増えてきた小狐丸
やっぱりみんな笑顔だといいなぁ…石切丸もさっきよりも柔らかい顔つきになったし、数珠丸とにっかりも心無しか先程より楽しそうに見えた。
さっきまで葬式ムードだったからね、うん
ほんとにホッとした……
三日月「小狐ばかり撫でず、俺のことも撫でてほしいものだ」
小狐丸ばかりを撫でていれば、三日月も撫でてほしいと傍に来た。
やっぱりショタじゃなくても撫でてほしいものなんだなぁ…。
もう私はみんなを子供扱いしてしまいそうだ…!
『はいはい、よしよし』
私はそっと三日月の頭を撫でた。
すると三日月は嬉しそうに微笑んでいる。