第15章 宴の開幕
あぁ、さっきまで怯えてた私…アホじゃないか!
こんな優しい刀なのに…怯えたとか失礼だすぎた…
『ありがとう!でも大丈夫だよ?』
蜻蛉切「…いや、豪酒がいるので油断はいけません」
心配そうな顔をしながら私に忠告をしてくれる
なんて優しいんだ……あぁ、好きだ
『豪酒には気をつけなきゃだね。……あの、蜻蛉切にお願いがあるんだけど…いい?』
蜻蛉切「?なんでしょう」
『あの…、筋肉触らせてください…!』
軽く頭を下げながらお願いをする。
すると少し驚いたような顔をしたが、ほんのり笑いながら了承してくれた。
蜻蛉切「触りたいならば、どうぞ」
『え、まじ?やったー!んじゃちょっと失礼して……』
私はゆっくりと蜻蛉切の胸筋に手を伸ばしてふにふにと触った。
『おおう…いい筋肉……』
蜻蛉切「主に褒めていただけて嬉しい限りです」
そんな私達の姿を見ていた刀が何やら話をしていた。
御手杵「主って筋肉が好きなのか…?」
次郎「んー?そうなんじゃない?」
日本号「珍しいな…まぁ、女には目に見える筋肉はあんまりないからな。男の筋肉が珍しいんだろ」
太郎「…自分に無いものは気になるものですからね」
御手杵「でも傍から見たら変態だろう、アレ」
次郎「あっはは!確かにね〜!まぁ、それも主の良いところだから大目に見てやらなきゃね!」
好き勝手言われていました。
なんだよ、私は変態扱いなの!?
さっき陸奥守達には女の子らしくて可愛いって言われたんだからな!
『好き勝手言ってくれてんな…』
蜻蛉切「すみません、主に失礼なことを」
申し訳なさそうな顔をしながら謝ってくる蜻蛉切。
『え?いやいや、なんで蜻蛉切が謝るの!謝るの禁止です〜』
蜻蛉切「……主は優しいのですね」
『優しい人には優しくするからね!』
優しくないやつには優しくしないもんね。
鶴丸とか鶴丸とか鶴丸とかね!
すると蜻蛉切は嬉しげに微笑んだ。
蜻蛉切「ありがとうございます」
蜻蛉切は律儀に礼を言ってきた。
ほんとに優しい刀だ……
そんなことを思いながら、グラスに目をやれば空なのに気づいた。