第15章 宴の開幕
その後、ズルズルと引きずられたままテーブルに連れてこられた。
次郎「はいはーい、新しい主を連れてきたよ〜」
次郎の言葉に、座っていた刀がこちらをじろりと見た。
その視線に私は声も出せなくなった。
迫力がやばいです
とりあえずデカい気がする
太郎「はぁ……次郎太刀…、強引過ぎますよ」
次郎「だって連れてくるのもめんどくさいんだもの〜」
はい?何言ってるの!?
めんどくさいなら連れてこようとすんな!!
私の心の声は誰にも届きはしない。
?「また女の主なんだな…」
グラスに注がれた酒をグビッと飲み干す刀
またって思うよね……
前任も女だったんだもんね…
私は今だけ男になりたいよ、うん!
?「とりあえず飲もうぜ?飲めば仲良くなれるかもしれないしな」
?「そうですな」
再びみんなは私に目線を移した。
いや、ほんと怖いからやめてほしい。
次郎「アンタ、何黙ってるの?いつもは、すっごくやかましいのにさぁ」
『え、いや……なんてゆうか、その……』
やかましいとか失礼だわ!
いや、まぁ、やかましいのは否めないけど……!
それに…気心知れた刀が一人もいないテーブルに連れてこられて私はどうしたらいいの?
野獣の檻に放り投げられた気分なんだけど?
太郎「…緊張しているのですか?」
『あー、まぁ、そんなような…?』
緊張ではない、恐怖の間違いだから!
でもそんなことは口が裂けても言えない。
次郎「緊張しなくても大丈夫大丈夫!さぁさぁ、アンタも飲んで飲んで!」
そう言って次郎は新しいグラスに酒を豪快に注ぎ、私に手渡してきた。
『ど、どうも……』
私はとりあえずそのグラスを受け取った。
今だに刀達はこちらを見ている…これは飲まなきゃダメなやつ?
飲まないと斬られるパターン?
やだよ、まだ…ほたるんとかショタちゃん達とワチャワチャしてたいよ…!
『い、いただきます……』
このまま飲まなければ殺られると思い、私はグラスに入った酒を一気に飲み干した。
次郎「おお!アンタ飲みっぷりいいねぇ!ほら、もっといっちゃいな!」
そして、空になった私のグラスに再び次郎が酒を注いできた。