第86章 山姥切問題
『あれ?まんばくん…どうしたの?』
どうしたのだろうと思い、私はまんばくんの近くに寄った。
するとまんばくんは少し不満げな表情をしていた。
山姥切「…アイツに、何かされたか?」
『へ?…あ、いや…特には……』
まんばくんの言葉に一瞬言葉を詰まらせるも、心配を掛けたくなかったので私は何も無かったと伝える。
するとまんばくんは少し俯き安心したように息を吐いた。
山姥切「…なら良かった」
『心配してくれたの?』
山姥切「…まぁ、さっきもキスされてたからな…」
『あー…アレね…。でもまんばくんが助けてくれたから全然大丈夫だよ?ありがと!』
山姥切「別に俺は……」
少し頬を赤らめながら目を逸らすまんばくん。
その姿を見て可愛いなぁなんて思ってしまう。
そんなことを思いながらまんばくんを見ていれば、まんばくんは私の方を向き直ればボソッと呟いた。
山姥切「…主が、アイツにビシッと言ってくれたことが嬉しかった。俺みたいな偽物よりも、本歌のアイツの方がいいはずなのに、…隔たりなく対応してくれるのは、アンタだけだ…」
その言葉を聞いて、やっぱり本家と偽物の壁を気にしていたんだとすぐに理解出来た。
『もう、何言ってんの…?まんばくんはまんばくんだし、長義くんは長義くんだよ。本歌だからとか、偽物だからとか全然関係ないし私はこの本丸でみんな楽しく過ごしたいだけ。それに私はまんばくんの事がだーいすきだから!この愛が薄れることは絶対にないから安心して!』
まんばくんを安心させるように笑顔を見せて、何だか不安そうなまんばくんを見ていると母性本能くすぐられてしまい私はまんばくんをぎゅっと抱きしめた。
『不安になったらいつでもこうしてそばに居るからね』
山姥切「…!……ふっ、やっぱり、俺の主はアンタしかいないな…」
まんばくんは嬉しそうな、安心したような顔をすれば私の両頬に手を添えてくる。
すると、そのまままんばくんの顔が近付いてきたかと思えば唇に軽くキスされた。
『えっ…まんばくん?』
山姥切「…消毒だ。ほら、焼き芋焼くんだろ…早く行くぞ」
そう言ってまんばくんは私の手を握り中庭に向かい歩き出した。
まんばくんが自らキスをしてくれる事に成長を感じて私は嬉しくなった。