第85章 謎の不審者
長義「来たね、偽物くん」
離れた長義くんは自分の唇を撫でながら、懲りずにまんばくんに対して偽物とほざく。
その言葉にまんばくんは長義くんを睨みつけた。
山姥切「俺は偽物なんかじゃない」
長義「本歌の俺と輝きも違う」
バチバチする二人を見かねて、私はまんばくんの前に立つ。
『アンタも懲りないね?まんばくんは偽物じゃないんだよ、うちの本丸の本歌だから。ね?そんな偽物だの本物だの言ってないでさっさと帰りな。うちの子は可愛さが売りなので』
長義「今まで色んな主を見てきたけど、こんなにぶっ飛んでる奴は初めて見た。俺もここの本丸に住もうかな」
『あっ、お断りさせていただきます』
長義「えっ」
そんな話をしていれば、少し遅れて愛染くんが戻ってきた。
愛染「主さーん!ロープ持ってきた!」
同田貫「また派手に落ちたな」
山伏「今引き上げるから待っていろ!」
『あー、ありがとう皆〜!助かるよー!』
愛染くんが力に自信がある刀剣を連れてきてくれたおかげで、私たちはロープで引き上げてもらった。
『いや、ほんと助かった!ありがとう!』
山姥切「感謝する…」
『あの、申し訳ないんだけど…さつまいもの量が足りてなくて、手の空いてる人いたら買い出しに行ってくれるかな?私ちょっと手が離せなくなっちゃったから』
同田貫「なら俺と山伏で行ってくる」
山伏「カカカッ、任せておけ!」
愛染「なら俺も行ってくるよ!」
『あー、本当ありがとう!ごめんね?お願いね!』
私は買い出しを三人に任せた後、何故か落ち込んでいる長義くんを放っておけなくて審神者部屋に連れていくことにした。
『長義くん、ちょっときて』
山姥切「主…俺も…」
『まんばくんは先に中庭に行ってて?私もすぐ行くから!』
山姥切「…………分かった」
まんばくんはどこか心配そうに私の背中を見送ってくれた。