第85章 謎の不審者
『…だ、大丈夫ですか〜…?』
穴を覗き込めば、自分が落とし穴に落ちたことが信じられないのか少し放心状態になっているイケメンくん。
…プライド高そうだもんね…そりゃそう言う反応になるよね…ドンマイ。
愛染「オレらだけじゃ引き上げるのは厳しいから誰か呼んでくるわ」
『あっ。ありがとう愛染くん!お願いね?』
彼を引き上げるためには力が必要な為、愛染くんは機転が利き助っ人を呼びに行ってくれた。
待ってる間どうしようかな…なんて思いながら穴の中を見ていればイケメンくんとバッチリ目が合ってしまった。
『あ』
?「…俺のことを心配してくれているのかな?」
『…はぁ…まぁ一応』
?「なら、少し手を貸してくれないか?」
『え?いや、私一人で貴方を持ち上げるのは無理だから今助っ人を…』
?「引き上げなくていいから、少しだけ手を出してほいんだが?」
コイツは何を言ってるんだ…なんて思いながら、私は何故か疑うことなく穴の中へと手を伸ばした。
すると彼は私の手を掴んだかと思えばグッと穴の中へと引きずり込むかのように手を引いた。
『えっ、うわぁぁあ!?!?』
私は呆気なくバランスを崩して穴の中へと落ちてしまった。
落ちた瞬間、イケメンくんはすぐに私の身体を抱きとめてくれた。
?「よっ…と。そんなに簡単に落ちるものなんだね」
『いや、引っ張られたら落ちるよね!?』
?「引っ張ってはないよ」
『いや、引っ張ったよね!?…てゆうか、とりあえず離れてくれる?』
イケメンくんは何故か私を抱きしめたまま至近距離でこちらを見つめてくる為離れるように伝えてみるも離す様子はない。
?「あぁ、自己紹介がまだだったね。俺は山姥切長義。俺こそが長義が打った本歌、山姥切だ。」
いや、人の話を聞け?
……って、山姥切…?まんばくんと同じ名前…
山姥切という名前に私は首を傾げた。